腰痛の強い味方!コルセットについて徹底解説!

 
腰痛で「コルセット」を使っている人っているけど、使い方は?
人によっては常に着けている人もいるみたいだけど…。
腰痛でご来院される方から、コルセットについては多く質問を頂きます。
コルセットは正しく使わないと効果が半減したり、逆効果となることがあります。
それでは今回はコルセットの概要から、使用時の注意点など解説していきます。
 

コルセットの目的

コルセットとは”締め付ける”という意味を持っています。そして腰痛に対して使用されるコルセットには、脊柱を固定する事で安定性向上と、腹圧が上昇させることでの体幹の安定性向上により患部を安静に保つことが出来ます。腰部コルセットは、腰椎(腰の骨)間の不要な動きを制限し、脊柱起立筋や腹筋群などの筋肉への負担を軽減する効果があります。

また、腹圧を上昇させることで、体幹部の筋肉の協調性が高まり、脊柱の安定性が向上します。これは、いわゆる「コルセット効果」と呼ばれ、腰椎椎間板ヘルニアや腰椎捻挫などの様々な腰痛症状の改善に効果的です。

日常動作で患部に負担をかけてしまうと、痛みの発生はもちろん、患部の炎症を悪化させて痛みを強くしてしまいます。特に急性期の腰痛では、過度な動きによって組織の損傷が悪化する可能性があります。少し難しい話になりますが、ぎっくり腰などの急性外傷に関しては「RICE処置」に基づいて処置することが望ましいです。

RICE処置とは

RICE処置

RICE処置とは怪我などをした際に行う応急処置を指します。Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字をとったものです。この処置法は1978年に米国のスポーツ医学専門医であるDr. Gabe Mirkinによって提唱され、現在では世界中で標準的な応急処置として認識されています。

各要素の具体的な効果として
Rest(安静):損傷部位の過度な使用を避け、これ以上の組織損傷を防ぎます
Ice(冷却):血管を収縮させ、腫れと痛みを軽減します
Compression(圧迫):むくみの軽減と炎症の抑制に効果があります
Elevation(挙上):重力の影響で血液やリンパ液の循環を促進し、腫れの軽減を助けます

簡単に言うと患部の炎症を抑えるのが目的で、適切な処置を行うことで治癒を促進して早めに日常生活に戻ることが出来ます。腰痛やぎっくり腰の際に使うコルセットは、特にRest(安静)やCompression(圧迫)を目的としており、これらの効果により炎症の進行を抑制し、痛みの軽減と早期回復を促進します。

コルセットの種類

コルセットには大きく分けると以下の2つがあります。脊椎の安定性と固定度は、コルセットの幅と材質に大きく影響されます。一般的に幅が広いものほど固定力が増し、脊柱への負荷を効果的に分散させることができます。特にぎっくり腰など急性の腰痛で、椎間関節や傍脊柱筋に強い痛みを伴う場合は、より広い面積で腰部を支持できる幅広の製品を利用する事をお勧めします。

硬性コルセット

硬性コルセットは、脊椎圧迫骨折や脊椎手術後の固定、また青年期特発性側弯症の進行予防などの治療目的に利用されます。熱可塑性プラスチックやポリエチレンなどの硬質素材で作られており、個々の患者の体型や症状に合わせて最適な固定力と装着感が得られるよう設計されます。

この類のコルセットは、3Dスキャンや採寸データを基に、義肢装具士によって個別にカスタマイズされます。製作には医師の処方箋が必要で、定期的なフィッティングと調整を要するため、必ず整形外科医による診察と処方を受ける必要があります。装着期間や装着時間は、症状や治療目的によって医師が個別に指示します。

軟性コルセット

一般的に腰痛やぎっくり腰の患者が使用する軟性コルセットは、体の動きに追従しながら適度な固定と圧迫を提供します。市販で多く流通しているのは、通気性に優れたナイロンメッシュ生地の製品です。脊柱の安定性を高めるために、アルミニウムやスプリングスチールなどの軽量金属支柱が背部に組み込まれているものもあります。

製品の特徴として
・伸縮性のある素材を使用し、体の動きに合わせて柔軟に対応
・マジックテープやフック式の締め具により、圧迫強度を細かく調整可能
・通気性と速乾性に優れ、長時間の使用でも蒸れにくい設計
・洗濯可能で衛生的な維持が容易

また、オフィスワークやデスクワークなど、日常生活の活動性に合わせて幅が狭く設計されたタイプも多く販売されています。これらは腰ベルトや腰サポーターの名称でも販売されており、軽度の腰痛予防や姿勢保持のサポートに適しています。ただし、過度な依存は体幹筋の筋力低下を招く可能性があるため、医師や理学療法士に相談の上、適切な使用期間と方法を守ることが重要です。

コルセットの正しい使用方法と装着のポイント

骨盤、上前腸骨棘

コルセットの効果を最大限に引き出すためには、解剖学的に正しい位置への装着が不可欠です。基本的な装着位置は、上前腸骨棘(骨盤前面の突出した骨)をコルセットの中心に合わせます。この位置は脊柱の安定性を最も効果的にサポートできる解剖学的なランドマークとなります。

装着手順と注意点

基本的な装着位置

・上前腸骨棘を触知し、コルセットの中心マーカーと合わせます
・背面では仙骨(尾てい骨の上部)までカバーされていることを確認
・左右の高さが均等になるよう調整し、歪みのない装着を心がけます

適切な締め付け強度

・呼吸を妨げない程度の強さ(深呼吸ができる程度)
・腹圧をかけた際に適度な抵抗を感じる程度
・立位で2-3本の指が入る程度の余裕があることが目安
・座位での違和感がないことを確認

装着時間の管理

・急性期(発症から1-2週間):1日8-12時間の装着が推奨
・回復期:徐々に装着時間を減らし、4-6時間程度に
・予防的使用:重労働時など必要な場面での限定的使用

装着中の注意事項

・しびれや痛みの出現時は直ちに緩める
・皮膚の発赤や掻痒感が続く場合は使用を中断
・特に暑い環境下では、皮膚のムレに注意
・2時間に1回程度、装着位置の確認と調整を推奨

合併症の予防

・過度な締め付けによる神経圧迫症状の予防
・皮膚トラブル(発赤、かぶれ)の予防
・腹部圧迫による消化器症状への注意

装着による効果の確認

・痛みの変化を観察(増強する場合は要注意)
・可動域の変化を確認
・日常動作での違和感の有無をチェック

適切な装着により期待される効果

・脊柱の安定性向上
・腹圧上昇による体幹筋のサポート
・疼痛の軽減
・日常生活動作の改善

ただし、これらの効果を得るためには、個々の体型や症状に合わせた適切な製品選択と、正しい装着方法の遵守が不可欠です。
違和感や症状の悪化が見られた場合は、医療機関での相談を推奨します。

コルセットは毎日使っていい?

コルセットを使う時によく聞かれる質問の一つが「いつまで使えばいいの?」というものです。
結論から言うと、「痛みが強い時期(発症から2-3週間)はしっかり使い、痛みが落ち着いてきたら徐々に使用時間を減らしていく」というのが最も良い使い方です。

なぜなら、コルセットを長く使いすぎると、以下のような問題が出てくる可能性があるからです。

1. 腰の筋肉が弱くなる
私たちの腰には、背骨を支える大切な筋肉がたくさんあります。コルセットを長期間使うと、これらの筋肉が使われなくなり、だんだん弱くなってしまいます。ちょうど、ギプスで固定していた腕が細くなるのと同じような現象です。

2. 姿勢が悪くなる
腰の筋肉は、良い姿勢を保つためにとても重要です。これらの筋肉が弱くなると、自然と猫背になったり、肩が丸まったりしやすくなります。良い姿勢を保つ力が低下してしまうのです。

3. お腹の調子が悪くなることがある
コルセットはお腹を締め付けるため、長時間使用すると消化の働きが悪くなったり、疲れやすくなったりすることがあります。胃もたれや違和感を感じたら、使用を控えめにしましょう。

4. 腰痛が長引く可能性
コルセットを使いすぎると、本来腰を支えるべき筋肉が弱くなってしまい、かえって腰痛が治りにくくなることがあります。これは、腰の筋肉が弱くなることで、日常の動作で腰に余計な負担がかかるためです。

そのため、以下のような使い方をお勧めします。

①痛みが強い時期(最初の2-3週間)必要に応じてしっかり使用
②痛みが落ち着いてきたら、少しずつ使用時間を減らす
└例:1日中使っていたのを、午前中だけ、または重い物を持つ時だけに変えていく

不安な場合は、医師や理学療法士に相談して、自分に合った使用方法を決めることをお勧めします。

コルセットを使う際の注意点

コルセット
腰の痛みが強い時には強い味方であるコルセットですが、その使用方法には重要な注意点があります。

急性期を過ぎたら、使用する時間を短くして徐々に運動を開始する

腰の痛みが強い時期(急性期)は、コルセットを使うことで痛みが和らぎます。でも、痛みが落ち着いてきたら、少しずつコルセットを外す時間を作っていくことが大切です。

その理由は、コルセットに頼りすぎると、本来あるはずの「体の内側のコルセット」(お腹や背中の筋肉)が弱くなってしまうからです。ちょうど、腕にギプスをつけていた後に筋肉が細くなるのと同じです。そうなると、かえって腰が不安定になり、腰痛が治りにくくなったり、慢性的な腰痛になりやすくなってしまいます。

痛みが和らいできたら、短い時間から始めてコルセットを外す時間を作り、徐々に体を動かすようにしましょう。軽いストレッチや筋トレを始めることで、腰の周りの血流が良くなり、回復も早くなります。

皮膚トラブルの予防

コルセットを使っていると気をつけたいのが肌トラブルです。特に汗をかきやすい夏場は要注意です。直接肌に触れることで「あせも」ができたり、同じ場所が強く押されることで皮膚が赤くなったり傷んだりすることがあります。

これを防ぐためのポイントは、

  • 通気性の良い素材のコルセットを選ぶ
  • 1日に2-3回は位置を直す
  • 寝るときは必ず外す
  • 肌が赤くなったり痛みを感じたらすぐに使用を中止する

自分の体型や使う場面に合った、適切な素材やサイズのコルセットを選ぶことが大切です。選び方が分からない時は、医師や専門家に相談するのがおすすめです。病院では、あなたの症状や体型に合ったコルセットの選び方や、正しい付け方を教えてもらえます。

腰痛を予防し再発させないために

腰痛やぎっくり腰でお悩みの方へ、大切なお話があります。コルセットは確かに痛みを和らげる強い味方ですが、それだけでは腰の問題を根本的に解決することはできません。痛みの再発を防ぐために、日常生活で気をつけるポイントをご紹介します。

日常動作に気を付ける

腰を痛める原因として最も多いのが、「腰を曲げる動作」です。例えば、

  • 子どもを抱き上げる
  • 床に落ちた物を拾う
  • 洗濯物を取り出す

これらの動作は生活の中で避けられません。でも、動作の仕方を少し工夫するだけで、腰への負担を大きく減らすことができます。

重要なポイントは、腰を曲げるときは「正面を向いたまま」行うことです。横や斜め前の物を取るときに体をひねると、腰に大きな負担がかかります。まずは体を取りたい物の正面に向け、それから腰を曲げるようにしましょう。

体幹筋を鍛える

私たちの体には、本来「内側のコルセット」があります。それが体幹(お腹や背中)の筋肉です。
デスクワークが多い生活や運動不足で、この筋肉が弱くなっていきます。

体幹の筋肉を鍛えるコツとして、

  • 無理のない範囲から始める
  • 毎日少しずつ続ける
  • 痛みを感じたらすぐに中止する

当院でも姿勢改善や腰痛に関する運動を紹介しております。ぜひ参考にしてください。【改善トレーニング集

正しい姿勢を維持する

悪い姿勢は、知らず知らずのうちに腰に負担をかけています。例えば、

  • 猫背
  • 反り腰
  • 骨盤の傾き

これらの姿勢の癖があると、せっかく体を鍛えても効果が半減してしまいます。
自分の姿勢のクセを知り、改善することが大切です。

また姿勢の改善には専門家のアドバイスが役立ちます。
治療院を選ぶときは、以下の点に注目しましょう。

  • 最初にしっかりと検査をしてくれる
  • 症状の原因を説明してくれる
  • 治療計画を具体的に示してくれる

このように、コルセットだけでなく、日常生活での動作の見直し、適度な運動、姿勢の改善など、総合的なアプローチで腰痛の予防・改善を目指しましょう。一度にすべてを変える必要はありません。できることから少しずつ始めていくのがコツです。

治療院を選ぶ基準など疑問点がある場合は「整体、接骨院、マッサージ店の違いを徹底解説!」で詳しい選び方を紹介しております。
ぜひご覧になってみてください。

 

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